妹背山婦女庭訓 第三章
定高の館では、入鹿が職人や芸人などに受領を行った。
大判事も入鹿の召しに応じて定高の館に来ていた。定高と大判事、両家には遺恨がある
入鹿は、采女の付人であった久我之助(大判事の息子)が、采女を匿っているのではないかと疑い、
遺恨のあるはずの子どもたち(久我之助と雛鳥)が恋仲であることを理由に、両家が共謀しているのではないかと疑う。
そして入鹿は、大判事清澄には息子の久我之助を出仕させるよう、定高には娘の雛鳥を入内させるよう命じる。
命令に背いた場合、その家は取り潰しとなる。
妹山と背山、吉野川を挟んで向かい合う両家。
川の流れは早く、想い合う若い2人は言葉を交わすことしかできない。
親から持ちかけられる入鹿の沙汰。
入鹿の命令に承知したときの合図はすでに決めてある。
雛鳥は操を貫き、このまま死ぬことを選ぶ。
久我之助も、このまま出仕すれば拷問にかけられ殺されるだろう。
対岸からお互いに、せめてどちらかが生き残ってくれればと願う。
両家は、入鹿の命令に承知した合図を掲げる。
相手の無事を思い、久我之助は切腹を望み、雛鳥は定高に首を打たれる。
互いの子の死を知り、定高は雛道具とともに雛鳥を首だけの嫁入りをさせ、大判事もそれを迎え、両家は和解する。
大判事は2人の首を抱え、入鹿のもとへと向かった。